作為的に非日常性を旅する

窓の外の向こう側には、車、バス、電車、新幹線、飛行機などが、絶えず動きまわっています。窓のこちら側ではリモコンひとつでさまざまな電化製品等の電源が入ります。窓の外も内も、江戸時代とはまるきり違っているのです。しずかにお香をたいて何かをやるとすれば、それらを意識的に閉め出してしまわなければ、江戸時代ちっくな気分には浸れないでしょう。つまり閉め出すという作為的な行為がそこにはあるわけです。お香をたいて遊ぶ、リラックスする、何かをする、これらはみな「今」を閉め出すという作為が加えられてはじめて成り立つ行為、非日常性だと言っていいでしょう。旅館の源氏香に話を戻しますけれども。旅先での非日常性は、ホテルや旅館が提供するサービスの基本というか、みんなそれを楽しみにして旅をするというか。だから旅館の源氏香の狙い(お香がテーマ)はそんなにハズしてはいないのです。どういう形であれホテルや旅館のウリは、非日常性ですから。
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本格的な源氏香を体験するなら
もちろん、全国の香木店さんで行われている、組香遊びの源氏香を体験するも良しです。こちらは本格的な雅の世界ですね。きちんとナビゲーションしている香木店さんであれば、間違いないでしょう。ただ、組香遊びの源氏香を本格的に体験して、楽しいとか面白いとか、心身ともに、それなりに満足するためには、お香の嗅ぎ分けと同時に、紫式部『源氏物語』も、知っていなければいけません。いまの時代、源氏物語を通しで知っている人